こんにちは。八ヶ岳へ移住、セカンドライフ!、運営者の「卓郎」です。八ヶ岳連峰の中でもひときわユニークな名前を持つにゅうへの登山を計画されている方も多いのではないでしょうか。にゅうはその名前の響きだけでなく、山頂からの絶景や白駒池周辺の美しい苔の森、そして山小屋グルメまで楽しめる素晴らしい山です。初めて登る方にとっては、登山難易度や標準コースタイム、アクセス方法、そして混雑する駐車場の状況など、気になる点がたくさんあるかと思います。この記事では、私が実際に調べたり体験したりした情報をもとに、初心者の方でも安心して楽しめるよう、にゅうの魅力を余すところなくお伝えします。

  • 初心者でも安心して歩けるルートと岩場の注意点がわかる
  • 絶景スポットと「にゅう」という名前の由来について理解できる
  • 混雑必至の駐車場対策とベストな到着時間が把握できる
  • 登山の楽しみである山小屋グルメの揚げパンやランチ情報を知れる

八ヶ岳のにゅう登山の魅力と基本情報

八ヶ岳エリアに移住してからというもの、この土地の山の奥深さに魅了されっぱなしの私ですが、中でも「にゅう」は特別なお気に入りスポットの一つです。名前の可愛らしさとは裏腹に、山頂から見渡す景色はまさにアルプスそのもの。ここでは、まず最初に知っておきたい難易度やルート、そしてあの不思議な名前の秘密について、私なりの視点でご紹介していきますね。

にゅう登山の難易度と初心者への注意点

「にゅう」は、多くの登山ガイドブックやWEBメディアで「初心者向け」の山として紹介されています。実際、標高2,100mを超える登山口(白駒池駐車場)まで車でアクセスできるため、実質的な標高差は200m〜300m程度と、数字だけ見れば非常に手頃な山です。私自身、八ヶ岳への移住を決めたばかりの頃、友人を案内して最初に登ったのがこの山でした。北八ヶ岳特有の穏やかで美しい針葉樹林帯は、激しいアップダウンも少なく、森林浴を楽しみながら歩くには最高のロケーションだと言えます。

しかし、「初心者向け」という言葉を「誰でもスニーカーで散歩感覚で行ける場所」と解釈してしまうと、思わぬ落とし穴にはまることになります。私が実際に歩いてみて感じたのは、コースの9割は癒やしの森歩きですが、残りの1割、特に山頂直下の岩場においては、しっかりとした登山装備が必要になるということです。白駒池から湿原を抜けて森の中を進んでいくと、突然、木の根が張り巡らされた急登や、大小の岩が積み重なったエリアが現れます。ここは手を使ってバランスを取りながら登る必要があり、普段運動不足の方だと息が上がってしまうポイントです。

さらに注意が必要なのが、足元のコンディションです。北八ヶ岳エリアは年間を通じて湿度が高く、登山道には濡れた木の根や、苔むした岩が数多く存在します。これらが驚くほど滑りやすいのです。晴れている日でも、森の中は湿気を保っているため油断はできません。過去に一度、スニーカーで歩いている観光客の方を見かけましたが、泥濘(ぬかるみ)に足を取られて靴の中まで泥だらけになり、岩場で何度も転びそうになっていて大変危険でした。

にゅう登山における初心者向けの注意点:スニーカーNGと推奨される登山装備

装備に関する重要なアドバイス

安全に楽しむためには、以下の装備を強く推奨します。

  • ミドルカット以上の登山靴: 足首を保護し、滑りやすい岩場でもグリップ力を発揮します。
  • レインウェア(雨具): 山の天気は変わりやすく、急な雨や風での体温低下を防ぐ命綱です。
  • 防寒着(フリースやダウン): 山頂は森林限界を超えており、風を遮るものがありません。夏でも休憩中は体が冷えます。

とはいえ、鎖場(鎖を使って登るような崖)や、滑落したら命に関わるような危険箇所(キレットなど)はありません。基本的な装備を整え、時間に余裕を持って行動すれば、登山デビューの方やお子様連れのファミリーでも十分に達成感を味わえる、懐の深い山であることは間違いありません。「ハイキング気分の延長ではなく、登山の入り口」という意識を持って臨めば、きっと素晴らしい体験になるはずです。

不思議な名前の由来とにゅうの意味

「にゅう」。一度聞いたら絶対に忘れられない、この平仮名2文字の響き。私が初めてこの山の名前を地図で見つけたとき、思わず二度見してしまいました。「これ、誤植じゃないの?」「入力ミス?」なんて疑ってしまったほどです。日本の山といえば「〇〇山」や「〇〇岳」といった漢字表記が当たり前だと思っていた私にとって、この可愛らしい名前は衝撃的でした。しかし、このユニークな名前こそが、多くの登山者の好奇心をくすぐり、この山を人気スポットにしている大きな要因の一つなんですよね。

では、なぜこんな変わった名前がついたのでしょうか。調べてみると、いくつかの興味深い説が存在します。まず一つ目は、農業用語に由来するという説です。昔、刈り取った稲わらを円錐形や円柱形に積み上げたものを、古語や一部の地域の方言で「にう(乳)」と呼んでいたそうです。にゅうの山頂には、鋭い岩が天に向かって積み重なるように突出しています。この独特の形状が、稲わらを積み上げた「にう」に似ていることから名付けられた、という説です。実際に山頂に立ってその岩積みを見ると、「なるほど、確かに何かが積み上げられたような形をしているな」と妙に納得させられます。

八ヶ岳にゅうの山頂標識と名前の由来となった稲わらの「にう」説の解説

二つ目は、もう少し即物的な説で、遠くから眺めた際の山容が女性の乳房(乳=にゅう)に似ていることに由来するというものです。昔の人々は、自然の造形を体の一部に見立てて地名をつけることがよくありましたから、これも十分にあり得る話です。ただ、現在では前者の「稲わらの山(にう)」説の方が、視覚的な形状の説明としてよく語られているように感じます。

表記に関しても、少し前までは「ニュウ」とカタカナで書かれたり、「にう」と表記されることもありましたが、最近の登山地図やガイドブック、現地の標識などでは、柔らかい印象を与える平仮名の「にゅう」が完全に定着しています。SNSなどでも「#にゅう」というタグで多くの写真が投稿されており、この名前自体がひとつのブランドになっているようにも思えます。

写真撮影の小ネタ

山頂には「にゅう 2352m」と書かれた木製の標識があります。この標識と一緒に記念撮影をするのが登頂者の定番ですが、名前が平仮名なので、写真を見返したときにとてもほっこりした気持ちになりますよ。「今日は『にゅう』に行ってきたんだ!」と友人に話すと、決まって「え?牛乳の『乳』?」と聞き返されるのも、この山ならではの楽しいコミュニケーションの一つです。

おすすめ登山ルートと標準コースタイム

白駒池往復コースと高見石・中山周回コースの所要時間と特徴の比較チャート

にゅうへのアプローチ方法はいくつかありますが、ご自身の体力や当日のスケジュールに合わせて選ぶことが大切です。ここでは、私が実際によく利用する主要な2つのルートについて、具体的なタイムスケジュールや特徴を交えて詳しく解説します。どちらのルートも起点は「白駒池駐車場」となります。

ルート名 標準タイム(休憩含まず) 体力レベル 技術レベル 特徴
① 白駒池往復コース 約2時間55分 ★☆☆(初級) ★☆☆(初級) 最短で往復可能。苔の森と湿原をじっくり堪能できる癒やしのルート。
② 高見石・中山周回コース 約4時間40分 ★★☆(中級) ★☆☆(初級) 展望、グルメ、稜線歩きを網羅する満足度No.1のゴールデンルート。

① 白駒池往復コース(初心者・ファミリー向け)

最もリスクが低く、手軽に絶景を楽しめるルートです。行程は「白駒池駐車場 → 白駒池 → 白駒湿原 → にゅう」の単純往復となります。このルートの最大の魅力は、前半の「白駒湿原」の木道歩きです。視界が開けた湿原には高山植物が咲き、周囲の森とのコントラストが非常に美しいです。アップダウンも比較的緩やかで、急登は山頂手前の一部分に限られます。「体力に自信がないけれど、絶景は見たい」「午後から天気が崩れそうなのでサクッと登りたい」という方には最適です。

② 高見石・中山周回コース(健脚・欲張り派向け)

私が個人的に最もおすすめしたいのが、この周回コースです。行程は「白駒池駐車場 → 白駒池 → 高見石小屋 → 中山展望台 → にゅう → 白駒湿原 → 駐車場」となります。このルートを選ぶメリットは、なんといっても「景色の変化」と「グルメ」です。最初に高見石へ登ることで、眼下に広がる白駒池の全貌を拝むことができます。その後、中山展望台を経て稜線を歩くのですが、ここから見る天狗岳などの主峰群が素晴らしい迫力なんです。そして最後ににゅうの絶景が待っています。同じ道を戻らないため、常に新しい発見があり、飽きることがありません。ただし、行動時間が5時間近くになるため、お昼休憩を含めると6時間は見ておく必要があります。朝一番(6時〜7時頃)に出発しないと、下山が夕方になってしまう可能性があるので注意が必要です。

ルート選びのポイント

初めての方はいきなり周回コースを選ばず、当日の体調や天候を見て判断することをおすすめします。もし高見石小屋まで登って「意外と疲れたな」と感じたら、中山へは向かわずにそのまま白駒池へ下りるエスケープルートもあります。無理せず柔軟に計画を変更できるのも、このエリアの良いところです。

白駒池を巡る人気の周回コース

私が友人を案内する際、最も好評なのが「高見石・中山・にゅう周回コース」です。このルートは単なる登山道ではなく、北八ヶ岳の魅力を凝縮したテーマパークのようなコース構成になっているからです。具体的にどのような体験ができるのか、私の体験談を交えてシミュレーションしてみましょう。

にゅう登山で出会える3つの感動:苔の森、山頂の大パノラマ、白駒池の紅葉

スタートは早朝の白駒池。朝靄(あさもや)に包まれた湖畔は静寂そのもので、水面に映る森の影が幻想的です。まずはここから「高見石小屋」を目指して登り始めます。この区間は少し急な登りになりますが、足元は整備されているので焦らずゆっくり進みましょう。約1時間ほどで高見石小屋に到着。ここでは小屋の裏手にある巨岩群「高見石」に登るのが必須イベントです。大きな岩をよじ登って頂上に立つと、眼下に深い森に抱かれた白駒池が青く輝いて見えます。まるで宝石のようなその美しさは、登りの疲れを一瞬で吹き飛ばしてくれます。

次に目指すのは「中山展望台」です。ここは標高2,496mあり、実は今回のコースでの最高地点になります。しかし、高見石から中山への道は比較的緩やかな稜線歩きとなっており、樹林帯の隙間から時折見える景色を楽しみながら快適に歩けます。中山展望台に到着すると、視界が一気に開け、目の前には天狗岳、硫黄岳、横岳といった南八ヶ岳のオールスターたちが壁のように立ちはだかります。「あっちの山は荒々しいね!」「いつかあそこにも登ってみたいな」なんて会話が自然と弾む場所です。

そしていよいよ、最終目的地の「にゅう」へ向かいます。中山からにゅうへのルートは下り基調なので体力的に楽ですが、足元がぬかるんでいることが多いのでスリップには注意してください。樹林帯を抜けてにゅうの岩峰に立つと、先ほどまでいた中山や高見石とは全く違う角度からのパノラマが広がります。これぞ周回コースの醍醐味です。

ただし、一つだけ注意点としてお伝えしておきたいのが「天狗岳への縦走」についてです。地図を見ると、にゅうから中山峠を経て東天狗岳へ行けそうに見えますが、中山峠から先は「ゴロタ場」と呼ばれる、大きな岩が不安定に積み重なった歩きにくい道が続きます。技術的難易度がグッと上がり、行動時間も大幅に増えるため、「にゅう登山」のついでに行くような場所ではありません。もし天狗岳を目指すなら、別の日に改めて計画を立てることを強くおすすめします。

苔の森の見どころと紅葉シーズン

北八ヶ岳エリアを語る上で絶対に外せないのが「苔(コケ)」の存在です。白駒池周辺は、日本蘚苔類(せんたいるい)学会によって「日本の貴重なコケの森」に選定されているほどの聖地です。この一帯にはなんと485種類もの苔が生息していると言われており、これは日本で見られる苔の種類の相当数を占めるそうです。森に一歩足を踏み入れると、地面はもちろん、倒木や岩、木の幹に至るまで、視界に入るもの全てが緑色のベルベットで覆われたような光景が広がります。

私が特に好きなのは「もののけの森」と名付けられたエリアです。鬱蒼としたシラビソの森の中で、湿った空気を吸い込んで生き生きとしている苔たちを見ていると、まるでアニメ映画の世界に迷い込んだような錯覚を覚えます。多くの登山者が足を止めて、ルーペを取り出して地面に這いつくばったり、マクロレンズを装着したカメラで小さな宇宙を撮影したりしています。苔は雨の日や雨上がりに水分を含んで最も美しく輝くため、一般的には敬遠されがちな「雨の日の登山」が、ここでは「当たりの日」に変わるのも面白い点です。

そして、もう一つのハイライトが秋の紅葉シーズンです。例年9月下旬から10月上旬にかけて、白駒池周辺のドウダンツツジやナナカマドが一斉に色づきます。湖畔の緑色の苔、針葉樹の深い緑、そして広葉樹の燃えるような赤や黄色。これらが織りなす色彩のコントラストは言葉を失う美しさです。特に、風のない晴れた日には、湖面に紅葉した木々が鏡のように映り込む「逆さ紅葉」が見られます。この景色を求めて、全国から写真愛好家が集まってくるのです。

しかし、この美しさゆえに、紅葉シーズンの混雑は凄まじいものがあります。登山道の木道ですれ違い待ちが発生することもしばしばです。静かに森を楽しみたい方には、あえて紅葉のピークを外し、新緑が美しい6月〜7月や、晩秋の静けさが漂う10月下旬などを狙うのも、通な楽しみ方かなと思います。

山頂からの景色と写真撮影スポット

鬱蒼とした樹林帯を抜け、最後の岩場を登り切ると、突然視界が開けて「にゅう」の山頂に飛び出します。標高2,352m、そこには遮るもののない360度の大パノラマが待っています。この瞬間の開放感こそ、登山の最大の報酬ですよね。

山頂から南側を見ると、八ヶ岳連峰の主稜線が目の前に迫ります。特に印象的なのは、硫黄岳の「爆裂火口」跡です。北八ヶ岳の穏やかな森とは対照的に、赤茶けた岩肌が荒々しく崩れ落ちている様子がはっきりと確認でき、火山の破壊的なエネルギーを肌で感じることができます。さらに視線を遠くに移せば、南アルプスの北岳や甲斐駒ヶ岳、中央アルプスの木曽駒ヶ岳、そして条件が良ければ遥か彼方に北アルプスの槍ヶ岳までも見渡すことができます。

そして、やはり外せないのが富士山です。東側の空に浮かぶ端正な姿は、何度見ても感動します。特に空気の澄んだ秋や冬の初めは、くっきりとその姿を現してくれる確率が高いです。また、白駒池周辺は盆地状の地形になっており湿度が常に高いため、早朝の時間帯には高確率で雲海が発生します。眼下に広がる真っ白な雲の海に、山々の頂が島のように浮かんでいる光景は、早起きして登った人だけが見られる特権です。

おすすめの撮影アングル

山頂には天に向かって突き出た特徴的な岩(通称:天狗の鼻のような岩)があります。ここに立って、下から広角レンズで空を大きく入れて撮影すると、まるで空中に浮いているような迫力ある写真が撮れます。SNSでもよく見かける人気のアングルですが、岩の上は狭く、風が強い日は煽られることもあるため、撮影に夢中になりすぎて足を踏み外さないよう十分注意してください。自撮り棒を使う際も周囲への配慮を忘れずに!

八ヶ岳のにゅうへ行く前の準備とグルメ

ここまでは山の魅力についてお話ししてきましたが、ここからは実際に現地へ行くためのロジスティクス、つまり「どうやって行って、何を食べるか」という現実的かつ極めて重要な情報をお伝えします。特に駐車場問題は、知らずに行くと現地で途方に暮れ、最悪の場合登山を断念せざるを得ない事態にもなりかねませんので、しっかりと予習しておきましょう。

駐車場の混雑回避とアクセス方法

この記事の中で、私が最も強く警告しておきたいのが「白駒池駐車場の混雑問題」です。アクセスが良く、初心者にも人気の観光地であるがゆえに、ハイシーズン(特に紅葉の時期や連休)の混雑は想像を絶するものがあります。

メインとなる「白駒池有料駐車場」の収容台数は約200台ほどです。料金は普通車で1日600円(※料金は変更になる場合があります)です。「200台あれば余裕でしょ?」と思われるかもしれませんが、紅葉ピーク時の週末には、なんと朝の4時〜5時には満車になってしまうことが頻発しています。私の知人は、張り切って午前3時に自宅を出発し、5時過ぎに到着したところ、目の前で「満車」の看板を出され、係員の方に止められてしまったそうです。その時の絶望感たるや、想像に難くありません。

白駒池駐車場の激しい混雑状況と満車回避のための早朝到着スケジュール

では、満車の場合はどうなるのか。基本的には、車で15分ほど離れた「八千穂高原スキー場」の無料駐車場へ誘導されます。そこから白駒池までは無料のシャトルバスが運行されるのですが、問題はこのバス待ちです。駐車場待ちの車列に加え、バスに乗るための人間の行列ができ、場合によっては移動だけで1時間〜2時間のロスが発生します。登山開始が遅れると、下山も遅くなり、午後の天候急変のリスクも高まるため、良いことは一つもありません。

【重要】卓郎流・駐車場攻略法

確実にメイン駐車場に停めて、ストレスなく登山を開始するための唯一の解は「深夜到着・車中泊」です。私は混雑期に行く場合、前日の夜のうちに到着し、駐車場で仮眠を取るようにしています(※トイレは24時間利用可能です)。もしそれが難しい場合でも、最低でも朝4時には到着するつもりで計画を立ててください。「朝7時くらいに着けばいいかな」という甘い考えは、紅葉シーズンにおいては命取りになります。

なお、アクセスルートである国道299号(メルヘン街道)は、11月中旬から4月中旬までの冬季期間は完全閉鎖となります。この期間は車でのアクセスができなくなるため、雪山登山をされる方は麦草峠方面からの徒歩アプローチなど、全く別の計画が必要になります。最新の道路状況や駐車場の運営状況については、必ず管理元の情報を確認してください。

(出典:南佐久北部森林組合『白駒の池有料駐車場』

登山時の服装と最新の天気予報確認

山の天気は変わりやすい、というのは常識ですが、標高2,000mを超える北八ヶ岳エリアも例外ではありません。麓の町(茅野市や佐久穂町)では晴れていて暖かくても、登山口に着くとガスで真っ白、気温は10度以上低い、なんてことは日常茶飯事です。

私が天気予報を確認する際、一般的な天気予報アプリの「茅野市の天気」はあまり参考にしません。なぜなら、市街地と山頂では気象条件が全く異なるからです。私が強くおすすめするのは、山岳専門の気象予報サイト「ヤマテン」です。月額330円からの有料サービスですが、山頂の風速や気温、発雷確率などをピンポイントで予報してくれるため、信頼度が段違いです。もし無料のサービスを使うなら、「てんきとくらす」の登山指数などを参考にしつつ、複数の情報源を見比べるのが良いでしょう。

服装については、「レイヤリング(重ね着)」が基本です。
【夏の服装例】
・速乾性のTシャツ(綿はNG。汗冷えします)
・薄手の長袖シャツ(日焼け・虫除け対策)
・レインウェア(必須。防風着としても使います)

【秋(9月下旬以降)の服装例】
・夏装備に加え、フリースや薄手のダウンジャケット
・ニット帽や手袋(朝晩は氷点下近くまで下がることがあります)

特に秋の紅葉シーズンは、行動中は暑くても、休憩して風に吹かれると一気に体温を奪われます。「ちょっと大げさかな?」と思うくらいの防寒着を持っていくのが、安全登山の鉄則です。

高見石小屋の名物揚げパンを味わう

にゅう登山の楽しみは景色だけではありません。むしろ、これを食べるために登るというファンも多いのが、高見石小屋の名物「揚げパン」です。ログハウス風の趣ある小屋に到着すると、漂ってくる香ばしい油の匂い。これだけでお腹が鳴ってしまいます。

揚げパンの味は、「きなこ」「ココア」「抹茶」「チーズ」「黒ゴマ」の全5種類。基本的には2個セット(約500円)で注文し、好きな味を2つ選ぶことができます。注文を受けてから揚げてくれるので、いつでもアツアツ、サクサクの食感が楽しめます。疲れた体に、じゅわっと染み込む油と砂糖の甘さがたまりません。私はいつも、王道の「きなこ」と、少しビターな「ココア」の組み合わせを頼んでしまいますが、塩気のある「チーズ」も捨てがたいんですよね。

高見石小屋の名物揚げパンと白駒荘の絶品自家製野菜カレーとステーキ

小屋の前には木製のテラスやベンチがあり、森の空気を吸いながら食べる揚げパンは格別です。また、小屋の中はランプの灯りで照らされたレトロな雰囲気で、オリジナルグッズや手ぬぐいなども販売されています。

【裏技?】テイクアウトの注意点

「家族にお土産で持って帰りたい!」と思う方もいるでしょう。しかし、高見石小屋ではゴミ削減のため、テイクアウト用の容器や袋の提供は行っていません。持ち帰りを希望する場合は、自分でタッパーやジップロックなどの容器を持参する必要があります(※自己責任での持ち帰りとなります)。また、週末などの激混み日には、提供スピードを上げるために、味が選べない「全種類セット」のみの販売になることもあります。この「限定感」や「行列」もまた、旅の良い思い出になるはずです。

白駒荘のランチメニューとトイレ事情

もう一つのグルメスポットとして外せないのが、白駒池の湖畔に建つ「白駒荘」です。創業100年を超える老舗の山小屋ですが、2018年に新館がオープンし、まるで高級リゾートホテルのようなモダンで快適な空間に生まれ変わりました。大きなガラス窓からは白駒池の湖面を一望でき、登山靴を脱がずに利用できるカフェスペースも完備されています。

ここのランチメニューは、山小屋のレベルを遥かに超えています。一番人気は、標高1,000mにある自社農園で育てた新鮮野菜をたっぷり使った「自家製野菜カレー」や「シチュー」です。鉄鍋で提供されるため最後まで熱々で楽しめます。また、本格的な鉄板ステーキやハンバーグもあり、「本当にここは山の上?」と疑ってしまうほどのクオリティです。デザートには、自家製のケーキや、特産のほおずきを使ったソフトクリームも充実しており、下山後の疲れを癒やすカフェタイムにも最適です。

そして、女性や初心者の方にとって非常に重要なのが「トイレ事情」ですよね。古い山小屋のトイレというと、暗くて臭い…というイメージがあるかもしれませんが、白駒荘のトイレは水洗式で、ウォシュレットまで完備された驚くほど清潔なトイレ(有料)です。着替えスペースやパウダールームまであるので、下山後にさっぱりしてから帰路につくことができます。この安心感は、登山初心者をお誘いする際に非常に大きなポイントになるはずです。

最高の「にゅう」登山にするための4つの成功ポイントまとめ

季節を変えて八ヶ岳のにゅうへ行こう

ここまで、長文にお付き合いいただきありがとうございました。八ヶ岳・にゅうの魅力、そして安全に楽しむためのノウハウをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。深く神秘的な苔の森、山頂からのアルプス級の大展望、そして美味しい山小屋グルメ。初心者の方でもしっかりと準備をすれば、最高の山旅が待っています。

八ヶ岳という場所は、一度行けば終わりではなく、季節を変えて何度でも訪れたくなる不思議な引力を持っています。夏は涼を求めて苔の森へ、秋は鮮やかな紅葉と澄んだ空気を楽しみに、そして冬はスノーシューを履いて白銀の世界へ(※冬はアイゼン等の本格的な装備と知識が必須です!)と、季節ごとに全く違う表情を見せてくれるのもこの山の奥深さです。

まずは天気の良い日を狙って、白駒池からのコースを歩いてみてください。そして山頂の岩の上に立ったとき、きっとあなたも「来てよかった!」と心から思えるはずです。この記事が、あなたの素晴らしい「にゅう登山」の助けになれば、これ以上嬉しいことはありません。それでは、安全第一で、最高の休日をお過ごしください!

免責事項

本記事の情報は執筆時点(2024年時点)のものです。登山道の状況や駐車場の料金、シャトルバスの運行、山小屋のメニュー・営業状況などは季節や年によって変更される可能性があります。必ず出発前に各公式サイトや現地の最新情報を確認してください。また、登山には常にリスクが伴います。ご自身の体力と技術に見合った計画を立て、最終的な判断は自己責任で行ってください。

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