こんにちは。八ヶ岳へ移住、セカンドライフ!、運営者の「卓郎」です。2月の八ヶ岳へ車で旅行に行こうと計画しているけれど、雪道の運転や現地の気温について不安を感じていませんか。都心から近いとはいえ、厳冬期の八ヶ岳エリアは想像以上に過酷な環境になることがあります。私自身も移住当初は、ノーマルタイヤでの限界や凍結路面の恐ろしさを知らずにヒヤリとした経験がありました。この記事では、現地のリアルな道路状況や必要な装備、そして寒さを逆手に取った観光の楽しみ方について、私の経験を交えて詳しくお話しします。
- 2月の道路状況とブラックアイスバーンのリスク
- 必ず準備すべきスタッドレスタイヤと4WD車の重要性
- ディーゼル車における寒冷地軽油と給油のルール
- 寒さを楽しむイベントや服装のレイヤリング術
八ヶ岳へ2月に車で行く際の道路リスク

2月の八ヶ岳エリアへ車で向かう際、最も意識しなければならないのは「路面状況の変化」です。首都圏から中央自動車道を使って快適にアクセスできたとしても、インターチェンジを降りた瞬間に世界が変わることがあります。まずは、この時期特有のリスクについて解説します。
2月の八ヶ岳の雪と道路状況
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2月の八ヶ岳周辺は、エリアによって天候が全く異なる「二面性」を持っていることをご存知でしょうか。これは私が実際に暮らし始めてから最も驚いたことの一つですが、同じ「八ヶ岳エリア」と言っても、山梨県側と長野県側では景色がまるで違うのです。
まず、山梨県側の南麓や東麓(北杜市、清里、小淵沢エリア)についてお話しします。このエリアは冬の間、驚くほど晴天率が高いのが特徴です。「八ヶ岳ブルー」と呼ばれる、吸い込まれるような深く澄んだ青空が広がる日が続きます。日中の日差しは非常に強く、たとえ前日に雪が降ったとしても、主要な道路や日当たりの良い場所の雪はあっという間に溶けてしまいます。そのため、昼間に到着したドライバーの方は「あれ?意外と雪がないな、これなら走りやすそうだ」と安心してしまうことが多いのです。
しかし、ここで油断してはいけません。車を走らせて長野県側の西麓(原村、富士見町、茅野市方面)へ向かうと、状況は一変します。こちらは北アルプスや中央アルプスの影響を受けやすく、雪雲が流れ込みやすい地形になっています。山梨側は快晴でサングラスが必要なほどだったのに、県境を越えた途端に空が鉛色になり、牡丹雪が降りしきる別世界に突入する、ということが日常茶飯事で起こります。
この「二面性」がドライバーに突きつける課題は、路面状況が猫の目のように変わることへの対応です。乾燥したアスファルト(ドライ路面)を気持ちよく走っていたと思ったら、カーブを一つ曲がった先の日陰にはガリガリに凍った圧雪路(雪が踏み固められた状態)が待ち構えている。さらに少し進むと、今度は溶けかけた雪がシャーベット状になり、ハンドルを取られやすくなる。2月の八ヶ岳ドライブは、こうした複合的な路面コンディションとの戦いでもあります。数キロメートルの移動の中に、冬道のあらゆるパターンが凝縮されていると考えて間違いありません。
ここがポイント
「山梨側は晴れていても、長野側は雪」というケースが頻繁にあります。特に鉢巻道路やズームラインといった山麓の周遊道路を利用する場合は、エリアごとの天候変化が激しいため、目的地がどのエリアにあるかによって、遭遇する路面状況が大きく異なることを覚えておきましょう。
2月の気温とアイスバーンの恐怖

「八ヶ岳 2 月 車」と検索して情報を集めている賢明なあなたが、最も警戒すべき「敵」は何か。それは、降り積もった真っ白な雪そのものではありません。ドライバーにとって最も恐ろしいのは、視覚的に認識することが極めて困難な「ブラックアイスバーン」です。
なぜ2月にこの現象が多発するのか、そのメカニズムをご説明します。2月に入ると、八ヶ岳エリアは「三寒四温」のサイクルに入り始めます。真冬の厳しさは残っていますが、日中の日差しの強さは春の訪れを感じさせるほどになります。気温がプラス5℃〜10℃くらいまで上昇することも珍しくありません。すると何が起きるかというと、道路脇に積み上げられた除雪後の雪山が溶け出し、その水が川のように道路を横断して流れるのです。
問題はここからです。日が沈み、夕方16時を過ぎると、気温はつるべ落としのように急降下します。あっという間に氷点下となり、夜間はマイナス5℃〜10℃、時にはマイナス15℃近くまで冷え込みます。昼間道路に流れ出した水は、この急激な冷却によって、アスファルトの表面で薄く均一な氷の膜となって再凍結します。これがブラックアイスバーンの正体です。
この氷の膜は透明度が高く、下地のアスファルトの色が透けて見えるため、ドライバーの目には「単に路面が濡れているだけ」のように映ります。「濡れているだけなら大丈夫」と減速せずにコーナーや交差点に進入し、ブレーキを踏んだ瞬間にタイヤがロックし、車が制御不能になって対向車線へ飛び出したり、路外へ転落したりする事故が後を絶ちません。
特に危険なのが、橋の上(地熱がないため上下から冷やされて凍りやすい)、トンネルの出入り口(風が吹き抜けるため凍結しやすい)、そして林道の日陰部分です。乾燥路面だと思って油断している時に不意に現れるため、心の準備ができていない分、パニックに陥りやすいのです。2月のドライブでは、「路面が黒く光っていたら、それは水ではなく氷だと思え」というのが、私たちが身をもって学んだ鉄則です。外気温計が0℃近くを示していたら、どんなに道が走りやすそうに見えても、絶対に「急ハンドル」「急ブレーキ」「急加速」の「急」がつく操作をしてはいけません。
ノーマルタイヤでの走行は不可能

これだけは声を大にして、何度でも申し上げますが、2月の八ヶ岳へノーマルタイヤ(夏用タイヤ)で来ることは、単なる無謀を超えて自殺行為に等しいです。「雪が降っていなければ行けるのではないか?」「チェーンさえ持っていれば、タイヤはノーマルでも大丈夫ではないか?」と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、その考えは今すぐ捨ててください。
タイヤのゴムという物質は、温度によってその性質が大きく変化します。一般的なノーマルタイヤに使用されているゴムは、気温が7℃を下回ると硬化が始まり、プラスチックのようにカチカチになってしまいます。ゴムが硬くなると、路面の微細な凹凸に密着することができなくなり、グリップ力(摩擦力)が著しく低下します。つまり、たとえ路面に雪が全くないドライな状態であっても、極低温の2月の八ヶ岳では、ノーマルタイヤ本来の性能は発揮できず、ブレーキを踏んでから停止するまでの距離(制動距離)が大幅に伸びてしまうのです。
実際にJAF(日本自動車連盟)が行ったユーザーテストでも、圧雪路におけるノーマルタイヤでの制動距離は、スタッドレスタイヤと比較して約1.7倍も長くなるという結果が出ています。さらに、坂道発進においては、ノーマルタイヤではわずかな勾配であってもタイヤが空転してしまい、発進すらできないことが実証されています。これは単に「滑りやすい」というレベルではなく、「車としての機能を失う」ことを意味します。
出典:JAF(日本自動車連盟)『雪道でのノーマルタイヤの危険性』
また、八ヶ岳周辺の自治体(山梨県や長野県)では、積雪・凍結道路において滑り止め措置(スタッドレスタイヤやチェーンの装着)を講じずに走行することを、道路交通法施行細則で禁止しています。つまり、ノーマルタイヤで雪道を走って立ち往生し、渋滞を引き起こしたり事故を起こしたりした場合、法令違反として反則金が科される可能性があるのです。周囲のドライバーに多大な迷惑をかけるだけでなく、ご自身や同乗者の命を危険に晒すことになります。
レンタカーを利用する場合の注意点
首都圏でレンタカーを借りて出発する場合、標準装備がノーマルタイヤになっていることが非常に多いです。予約サイトで単に「車」を予約しただけでは、冬装備のない車が用意されてしまいます。予約時には必ず「スタッドレスタイヤ確約」のオプションを選択してください。一方、長野県(松本・諏訪エリア)や山梨県(甲府・小淵沢エリア)発のレンタカーであれば、冬季(通常12月〜3月)はスタッドレスタイヤが標準装備(無料)されていることが一般的ですが、念のため予約時に確認することをおすすめします。
4WDの重要性とチェーンの役割

私が八ヶ岳に移住してから痛感したのは、4WD(四輪駆動車)というシステムの圧倒的な頼もしさです。もちろん、2WD(FFやFR)の車にスタッドレスタイヤを履かせて生活している住民の方もいらっしゃいますが、観光で訪れる方、特に地理に不慣れな方には、断然4WD車をおすすめします。
その最大の理由は、八ヶ岳エリア特有の「地形」にあります。八ヶ岳南麓・西麓エリアは、標高差が激しく、観光スポットやペンション、別荘地へ向かう道は、そのほとんどが「急勾配の坂道」です。平坦な雪道であれば2WDでもなんとかなりますが、凍結した急な上り坂で一度停止してしまうと、再発進する際に2WDでは駆動輪が空転してしまい、前に進めなくなる(スタックする)リスクが非常に高くなります。4WDであれば、4つのタイヤ全てにエンジンの力が伝わるため、滑りやすい路面でも地面をしっかりと掴み、力強く登っていくことができます。
では、4WDにスタッドレスタイヤを履いていれば万全かというと、実はそうとも言い切れません。ここで登場するのが「タイヤチェーン」です。「スタッドレスがあるのにチェーン?」と思われるかもしれませんが、これには明確な理由があります。
スタッドレスタイヤは「ゴムの摩擦力」で止まりますが、チェーン(特に金属製のもの)は「物理的に氷に食い込んで」止まります。例えば、ブラックアイスバーンになってしまった急な下り坂などでは、重たい4WD車は慣性力が働き、スタッドレスタイヤだけでは止まりきれないことがあります。こうした場合、金属チェーンが持っている強烈なグリップ力こそが、最後の命綱になります。
また、美濃戸口などの登山口へ向かう林道や、除雪が追いついていない深い新雪の道を走る場合、スタッドレスタイヤの溝が雪で埋まってしまい、4WDでもスタックすることがあります。このような「脱出困難」な状況に陥った時、チェーンがあるかないかで、無事に宿にたどり着けるか、JAFを呼んで数時間凍えながら待つかが決まります。
最近は取り付けが簡単な非金属(ゴム・樹脂製)チェーンや、緊急用の布製チェーンも普及しています。布製は耐久性には劣りますが、軽量で装着が非常に簡単なため、万が一のお守りとしてトランクに積んでおくだけでも安心感が違います。出発前には必ず一度、乾いた路面で装着の練習をしておくことを強くおすすめします。吹雪の中で、かじかむ手で初めての説明書を読みながら装着するのは至難の業ですから。
ディーゼル車の寒冷地軽油トラブル

最近は燃費が良くトルクフルなクリーンディーゼルを搭載したSUV(ランドクルーザープラド、CX-5、デリカD:5など)や、ハイエースなどのワンボックスカーで遊びに来られる方を多く見かけます。もしあなたの愛車がディーゼル車であるなら、絶対に知っておかなければならないのが「軽油の凍結」という問題です。ガソリン車の方は読み飛ばしていただいて構いませんが、ディーゼル車ユーザーにとっては死活問題です。
実は軽油という燃料は、寒さに弱い性質を持っています。軽油に含まれるワックス分(パラフィン)が、低温になると結晶化し始め、シャーベット状に固まってしまうのです。これが進むと、燃料フィルターが目詰まりを起こし、エンジンに燃料が送られなくなって、走行中に突然エンジンが停止したり、翌朝エンジンがかからなくなったりします。
日本で販売されている軽油は、その流動点(固まり始める温度)によって、JIS規格で5種類に分類されています。
・2号軽油(流動点-10℃以下):主に関東以西の温暖な地域で冬に販売
・3号軽油(流動点-20℃以下):寒冷地で冬に販売
・特3号軽油(流動点-30℃以下):北海道などの極寒地で販売
問題なのは、東京や神奈川などの首都圏で満タンにしてきた軽油は、ほとんどが「2号軽油」だということです。これの使用限界目安はマイナス10℃程度。しかし、2月の八ヶ岳の夜間は、マイナス15℃を下回ることも珍しくありません。つまり、首都圏の軽油を入れたまま一晩駐車しておくと、翌朝にはタンクの中で軽油が凍結(ゲル化)し、エンジン始動不能になる確率が極めて高いのです。
対策は非常にシンプルですが、徹底する必要があります。
寒冷地での給油ルール(卓郎流メソッド)
1. 出発時の調整:自宅を出る時は、現地に到着する頃に燃料タンクが半分以下(できれば3分の1程度)になるように調整して出発します。
2. 現地での給油:八ヶ岳エリア(北杜市、茅野市、富士見町、原村など)のインターチェンジを降りたら、真っ先に地元のガソリンスタンドへ向かいます。
3. 満タン給油:そこで現地の軽油(この時期は必ず3号または特3号が販売されています)を給油口ギリギリまで満タンに入れます。
こうすることで、タンク内に残っていた温暖地用の軽油と、現地の寒冷地用軽油が混ざり合い、全体の耐寒性能が向上します。これを怠って、「まだ半分あるから大丈夫だろう」とそのまま宿に泊まり、翌朝レッカー移動になる悲劇を私は何度も見てきました。現地のスタンドでの給油は、八ヶ岳への「入国税」のようなものだと思って、必ず実践してください。
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