こんにちは。八ヶ岳へ移住、セカンドライフ!、運営者の「卓郎」です。
八ヶ岳の豊かな自然を満喫しようと思ったとき、どうしても切り離せないのが八ヶ岳に生息する虫の存在ですね。美しい高原の景色の中で国蝶オオムラサキやかっこいいミヤマクワガタに出会いたいというワクワクする気持ちがある一方で、ブヨやアブ、スズメバチといった危険な虫に刺されたらどうしようという不安も同時に抱えているのではないでしょうか。
実は私自身も移住当初は、このエリア特有の虫の種類の多さや発生時期の違いに戸惑うことがありました。しかし、それぞれの生態や正しい対策を知ることで、過度に恐れることなく自然と付き合えるようになりました。
この記事では、八ヶ岳エリアで楽しめる昆虫観察のポイントから、絶対に知っておくべき害虫のリスク管理まで、私の経験を交えてお話しします。

- 八ヶ岳で見られるオオムラサキやクワガタなど人気の昆虫とその観察時期
- 高原リゾートの天敵であるブヨやアブの具体的な生態と回避方法
- スズメバチやマダニなど命に関わるリスクへの正しい対処法
- 現地での活動を快適にする最強の虫除けグッズと選び方
八ヶ岳の虫で人気の種類と観察時期
八ヶ岳は標高400mの里山から2,000mを超える亜高山帯まで、垂直方向に多様な環境が広がっています。そのため、少し標高を変えるだけで見られる昆虫の種類がガラッと変わるのが面白いところなんです。まずは、このエリアならではの「出会えると嬉しい虫たち」について、その魅力や見つけやすいタイミング、そして観察のコツをじっくりご紹介しますね。
国蝶オオムラサキの羽化と観察

八ヶ岳南麓の北杜市といえば、環境省によって日本の「国蝶」に指定されているオオムラサキ(Sasakia charonda)の生息地として、全国的にも非常に有名な場所です。都会では開発によってエノキ(彼らの食樹)が減り、なかなかお目にかかれない幻の蝶になりつつありますが、ここ北杜市では里山環境が大切に保全されているため、そのダイナミックな一生を間近に感じることができるんです。
春の目覚めから幼虫の成長
オオムラサキのライフサイクルは、八ヶ岳の四季と見事にリンクしています。冬の間、幼虫はエノキの根元の落ち葉の下で、枯れ葉と同じ茶色の姿でじっと寒さに耐えています。これを「越冬幼虫」と呼ぶのですが、背中に小さな突起が4つあって、どこか愛嬌のある顔をしているんですよ。
例年、ゴールデンウィーク直前の4月下旬(2025年のデータでは4月28日頃)になると、気温の上昇とともに彼らは目を覚まします。幹を登って新緑のエノキの葉を食べ始めると、体色は茶色から鮮やかな緑色へと変化していきます。この時期の幼虫は、まるで忍者のように葉っぱに擬態しているので、見つけると「おっ、今年も春が来たな」と嬉しくなりますね。
感動的な羽化の瞬間とベストシーズン
幼虫は脱皮を繰り返し、6月上旬頃には蛹(サナギ)になります。そして、最も感動的な羽化のピークを迎えるのは6月中旬から7月にかけてです。特に6月下旬は個体数が多く、観察にはベストなタイミングと言えるでしょう。
オオムラサキの最大の魅力は、なんといってもオスの羽の美しさです。光の当たり具合によって鮮やかな青紫色に輝くその姿は、「森の宝石」と呼ぶにふさわしい威厳があります。一方、メスは一回り大きく、茶色っぽい落ち着いた色合いですが、力強く空を舞う姿には迫力があります。彼らは花の蜜ではなく、クヌギやコナラの樹液を好むため、カナブンやスズメバチを押しのけて堂々と樹液を吸う様子は、まさに「国蝶」の貫禄です。
北杜市オオムラサキセンターでの体験
野生の個体を探すのも楽しいですが、確実に観察したいなら「北杜市オオムラサキセンター」がおすすめです。ここにある「びばりうむ長坂」という巨大な温室施設では、自然に近い環境が再現されており、天候に関わらずオオムラサキが飛び交う様子を観察できます。
【ここがポイント!】
センターでは、見るだけでなく「体験」も充実しています。冬には越冬幼虫を探すガイドツアー、夏にはカブトムシやクワガタと触れ合えるイベントも開催されています。また、受験シーズンには「羽化」と「受かる」を掛けた合格祈願のお守りも人気だそうで、地域に根付いた文化を感じますね。
人気のミヤマクワガタ採集ポイント

夏の八ヶ岳観光の醍醐味といえば、やっぱり童心に帰ってのクワガタ採集ですよね。「子供にかっこいいところを見せたい!」と張り切るお父さんも多いのではないでしょうか。平地のアスファルトに囲まれた公園ではノコギリクワガタやコクワガタが主役かもしれませんが、ここ八ヶ岳のような標高600mから1,000m以上の冷涼なエリアでは、主役が交代します。そう、「ミヤマクワガタ」こそが八ヶ岳の王様なんです。
なぜ八ヶ岳はミヤマクワガタが多いのか?
「深山(ミヤマ)」の名前が示す通り、このクワガタは涼しくて湿度の高い深い森を好みます。温暖化の影響もあり、関東の平野部ではかなり数を減らしていますが、八ヶ岳南麓の気候は彼らにとってまさに楽園。頭部に冠のような突起を持ち、体表に金色の微毛が生えた美しい姿は、他のクワガタにはない気品がありますよね。
実際に地元の黒坂オートキャンプ場などのデータを見てみると、カブトムシよりもミヤマクワガタの個体数の方が多く、シーズン中は連日のように採集されているんです。「カブトムシを捕まえに来たのに、全部ミヤマクワガタだった!」なんていう贅沢な驚きも、このエリアならではのあるある話です。
狙い目の時期と場所選びのコツ
発生のピークは、梅雨明けの7月中旬からお盆の8月中旬にかけてです。特に7月下旬は最も活性が高く、大型の個体に出会えるチャンスも増えます。
探すべき場所は、クヌギ(葉が細長くてギザギザしている)やコナラ(どんぐりの木)の雑木林です。昼間でも木陰の涼しい場所に隠れていることがありますが、やはり確率が高いのは早朝や夕暮れ時です。樹液が出ている「酒場」となる木を見つけるのが第一歩ですが、スズメバチも同じ場所に来ていることが多いので、観察の際は必ず周囲を確認してくださいね。
【採集のヒント】
- 木の根元もチェック: ミヤマクワガタは、樹液だけでなく木の根元の落ち葉の下などに隠れていることも多いです。
- 灯火採集: 彼らは光に集まる習性が強いため、夜間の外灯や自販機の周り、あるいはキャンプ場のランタンの明かりに飛んでくることもよくあります。
- 蹴るのはNG: 木を蹴って落とす方法は、木を傷めるだけでなく、枝が落ちてきて危険なのでやめましょう。
ちなみに、標高が高くなるとカブトムシは寒さに弱いため少なくなりますが、代わりに高山に適応した「アカアシクワガタ」や「スジクワガタ」といった、これまた渋くてかっこいい種類が混ざることもあります。多様なクワガタに出会えるのも、八ヶ岳の森の豊かさの証明ですね。
入笠山に飛来するアサギマダラ

「旅する蝶」として近年メディアでも話題になることが多いアサギマダラ。彼らは春に南から北へ移動し、秋になると再び南へ、時には海を越えて2,000km以上も移動することが分かっています。そんなロマンあふれる彼らが、旅の途中で羽を休める重要な場所が、八ヶ岳エリアや南アルプス前衛の「入笠山(にゅうかさやま)」なんです。
高原の避暑地に集まる理由
アサギマダラは暑さに弱いため、真夏の間は標高の高い涼しい場所で過ごします。入笠山はゴンドラを使えば一気に標高1,780mまでアクセスでき、8月下旬の午後でも気温は25℃前後と非常に快適です。人間にとっても最高の避暑地ですが、蝶たちにとっても楽園なんですね。
見頃を迎えるのは、夏の終わりの8月下旬から9月上旬頃です。下界ではまだ残暑が厳しい時期ですが、山上では秋の気配が漂い始め、アサギマダラたちが南への長い旅に備えてエネルギーを蓄えるために集結します。その数は年によって変動しますが、多い時には数百頭が乱舞することもあり、まるで天国のような光景が広がります。
撮影のポイントと特異な生態
アサギマダラは、薄い水色(浅葱色)のステンドグラスのような羽を持っています。この色は森の中でもよく目立ち、写真映えも抜群です。彼らは「ヒヨドリバナ」や「フジバカマ」、そして入笠山では「ゴマナ」などの白い花を好んで吸蜜します。夢中で蜜を吸っている時は警戒心が薄く、そっと近づけばスマホでもかなりアップで撮影できることが多いですよ。
【不思議な植生の関係】
入笠山は「花の宝庫」ですが、実は深刻なシカの食害に悩まされています。しかし、アサギマダラが好む植物の中には、シカが嫌う毒性の成分を含むものがあり、それらが食害を免れて残っているという背景もあります。また、蝶の羽にマジックでマーキング(捕獲場所や日時を記入)された個体を見つけることがあるかもしれません。これは移動ルートを調べる調査の一環ですので、もし見つけたら写真を撮って場所を記録しておくと、研究の役に立つかもしれませんね。
八ヶ岳の昆虫観察に適した時期

ここまで紹介してきたように、八ヶ岳での虫探しを成功させるには、「いつ、どこに行くか」というタイミングが非常に重要です。せっかくの旅行で「時期が遅くて見られなかった…」とならないよう、季節ごとの主役と楽しみ方を整理しておきましょう。これを参考に旅のプランを練ってみてください。
| 時期 | 主役・現象 | 主な場所 | 楽しみ方のポイント |
|---|---|---|---|
| 4月下旬~5月 | オオムラサキ幼虫 エゾハルゼミ |
オオムラサキセンター 標高1,000m以上の林 |
越冬から目覚めた幼虫の観察や、新緑の中で響き渡るエゾハルゼミの大合唱を楽しむ、春の訪れを感じる時期。 |
| 6月中旬~7月 | オオムラサキ成虫 ホタル |
オオムラサキセンター 清里・小淵沢周辺 |
美しい紫色の羽化を観察するベストシーズン。夜には水辺でゲンジボタルやヘイケボタルの幻想的な光も見られます。 |
| 7月中旬~8月中旬 | ミヤマクワガタ カブトムシ 高山蝶 |
黒坂オートキャンプ場 雑木林 南アルプス稜線 |
子供たちの夏休み本番。朝夕の樹液採集や、登山者だけが見られる希少な高山蝶(タカネキマダラ等)の撮影。 |
| 8月下旬~9月 | アサギマダラ 赤とんぼ |
入笠山 スキー場のゲレンデ |
高原のお花畑でアサギマダラの撮影。秋空を舞うアキアカネの大群も季節の移ろいを感じさせます。 |
| 11月~冬季 | オオムラサキ越冬幼虫 冬の昆虫 |
オオムラサキセンター | 落葉の下で眠る幼虫探しや、雪上のアニマルトラッキングなど、冬ならではの静かな自然観察。 |
このように、夏休み期間中でも7月と8月では見られる虫のピークが微妙に異なります。また、8年に一度大発生する「キシャヤスデ」のような珍しい現象に遭遇することもあります(直近では2024年に発生しました)。自然のリズムに合わせて旅程を組むのも、八ヶ岳通への第一歩ですね。
八ヶ岳の虫対策と注意すべき危険生物
さて、ここからは少し気を引き締めて、私たち人間にとって「ありがたくない」、時には「危険」な虫たちの話をしましょう。八ヶ岳でのアウトドアを楽しい思い出にするためには、リスク管理が欠かせません。「知らなかった」では済まされないトラブルを防ぐため、私の実体験に基づいたリアルな対策をお伝えします。
清流に潜むブヨの強烈な痒み対策

八ヶ岳南麓や白州、南アルプス周辺のキャンプ場に行くと、水が透き通っていて本当に綺麗ですよね。川遊びをするには最高なのですが、実はここに落とし穴があります。それは、「きれいな水がある場所=ブヨ(ブユ)がいる」という、逃れられない自然の法則です。ブヨの幼虫は、汚れた水では生きられず、清流でしか育たないからです。
蚊とは次元が違う「痒み」の正体
ブヨに刺された(正確には噛まれた)経験がない方は、蚊と同じようなものだと思っているかもしれません。しかし、その被害レベルは段違いです。蚊は針を刺して血を吸いますが、ブヨは皮膚をのこぎりのような口で噛み切って、滲み出た血を吸います。
噛まれた瞬間はチクリとする程度ですが、恐ろしいのはその後です。ブヨの唾液に含まれる酵素毒に対するアレルギー反応により、半日~翌日になってからパンパンに腫れあがり、猛烈な痒みに襲われます。さらに、患部にしこりが残ったり、「ブヨ痒疹」といって数ヶ月も痒みがぶり返すこともあります。私も移住当初、足首を露出していて酷い目に遭い、完治するまで半年かかりました…。
絶対に被害を防ぐための鉄則
ブヨの被害を防ぐには、「寄せ付けない」「触れさせない」の二段構えが重要です。
【ブヨ対策の具体的アクション】
- 肌の露出をゼロにする(物理防御): これが唯一確実な方法です。特に足首が狙われます。短パンにサンダルは厳禁。長ズボンに厚手の靴下を履き、さらにレギンスやスパッツで隙間を完全に埋めてください。
- マズメ時と天候に注意: ブヨは直射日光や暑さを嫌います。そのため、朝夕の薄暗い時間帯(マズメ時)や、曇り・雨上がりの湿度の高い日に活動が活発化します。この時間は特に警戒レベルを上げてください。
- ハッカ油を活用する: ブヨはハッカ(ミント)の香りを嫌う傾向があります。市販のハッカ油スプレーをこまめに吹き付けるのは有効です。ただし、揮発しやすいので15分おきくらいのスプレーが必要です。
登山道で執拗に追うアブの撃退法
標高の高い登山道や林道を歩いている時、あるいは渓流釣りをしている時に、「ブンブン」と大きな羽音を立ててしつこく周りを飛び回る虫はいませんか?それがアブ(ウシアブやイヨシロオビアブなど)です。
なぜアブはあんなにしつこいのか?
アブは非常に視力が良く、さらに熱や二酸化炭素に敏感です。彼らが寄ってくる主な要因は以下の3つです。
- 二酸化炭素(CO2): 登山でハァハァと息を切らしている時や、車の排気ガスに強く反応します。
- 熱: 体温が高い状態や、止まったばかりの車のエンジンの熱に引き寄せられます。
- 視覚と動き: 黒や紺などの濃い色、そして動くものに反応して追いかけてきます。
ブヨと同様に皮膚を噛み切って吸血するため、噛まれると激痛が走ります。アブの厄介なところは、多少の虫除けスプレーをしていても、お構いなしに近寄ってくるその執念深さと飛行能力の高さです。
現場でできる対処法と事後処置
まず、車で現地に着いた時は、すぐにエンジンを切って熱を冷ますことが大切です。また、服装は黒を避け、白や黄色などの明るい色を選ぶことで、視覚的なターゲットになりにくくなります。
それでも寄ってきた場合は、タオルやうちわなどで物理的に追い払い続けるしかありません。アブは直線的な動きには強いですが、まとわりつくような動きには対応しきれません。もし運悪く噛まれてしまった場合は、直後に「ポイズンリムーバー(毒吸引器)」を使って毒素を吸い出してください。これをやるかやらないかで、その後の腫れや痛みが劇的に変わります。登山用救急セットには必ず入れておきたいアイテムの一つです。
秋に攻撃性が増すスズメバチの脅威

登山やハイキング、あるいはキノコ狩りなどで山に入る際、最も生命に関わるリスクがあるのがスズメバチです。特に八ヶ岳のような自然豊かな場所では、オオスズメバチやキイロスズメバチの巨大な巣が作られやすい環境があります。
最も危険な「8月~10月」の行動パターン
スズメバチは春から活動していますが、本当に危険なのは8月から10月にかけてです。この時期、巣の規模は最大になり、新しい女王蜂を育てるための準備期間に入ります。そのため、働き蜂たちは巣を守ろうとする防衛本能が極限まで高まり、少し巣に近づいただけでも集団で攻撃してくることがあります。
特にオオスズメバチは、木の高いところではなく、土の中や木の根元の空洞(樹洞)に巣を作ることが多いため、登山道の脇の藪などに不用意に足を踏み入れると、知らず知らずのうちに巣を踏みつけてしまう…という恐ろしい事故が起こり得ます。
遭遇した時の生死を分ける対応
もし山の中でスズメバチに遭遇したり、「カチカチ」という威嚇音(アゴを鳴らす音)が聞こえたりしたら、パニックになって手で払ったり、大声を出して走り回ったりするのは絶対にNGです。蜂は横に動くものを追う習性があるため、急激な動きは攻撃のスイッチを入れてしまいます。
【正しい撤退方法】
蜂から目を離さず、頭を低くして、ゆっくりと静かに後ずさりをして距離を取ってください。数メートル離れれば、蜂も追跡を諦めることが多いです。また、黒い服や髪の毛は攻撃対象になりやすいので、白い帽子を被ることは基本中の基本です。さらに、香水や整髪料、柔軟剤の甘い香りは蜂を刺激するフェロモンに似ていることがあるので、山に入るときは「無香料」を心がけましょう。
感染症リスクがあるマダニの予防
近年、ニュースでもよく耳にするようになった「マダニ」。八ヶ岳周辺を含む長野県や山梨県でも、野生動物(シカ、イノシシ、アライグマなど)の生息域拡大に伴い、マダニの分布も広がっています。単に血を吸われるだけでなく、命に関わる感染症を媒介することが最大のリスクです。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のリスク
マダニが媒介するウイルス感染症の中で、特に注意が必要なのが「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」です。発熱や消化器症状を引き起こし、高齢者を中心に重症化・死亡する事例も報告されています。八ヶ岳エリアで畑仕事や草むしりをしていて被害に遭うケースもあり、観光客といえども油断は禁物です。
マダニは、笹薮や草むらの葉先で、動物が通りかかるのをじっと待っています。二酸化炭素や振動を感知すると飛び移ってくるのです。したがって、登山道から外れて獣道に入ったり、藪漕ぎをしたりするのはリスクを高める行為となります。
帰宅後のチェックが運命を分ける
対策の基本は、やはり「肌の露出を避けること」と「ツルツルした素材の服を着る(マダニが掴まりにくい)」ことです。そして何より重要なのが、「家に帰るまでがマダニ対策」だということ。
帰宅後やお風呂に入る時に、鏡を使って全身をくまなくチェックしてください。特に、脇の下、足の付け根、膝の裏、髪の毛の中など、皮膚の柔らかい場所や隠れやすい場所を好みます。「新しいホクロができている?」と思ったら、それがマダニかもしれません。もし噛まれているのを見つけても、無理に引き抜こうとするとマダニの口器が体内に残ってしまうので、そのまま皮膚科を受診して処置してもらうのが最も安全です。
SFTSに関する詳しい情報や発生状況については、厚生労働省の公式サイトでも注意喚起がなされています。正しい知識を持って対策を行いましょう。
(出典:厚生労働省『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について』)
効果的な最強の虫除けアイテム

ここまで読んで「八ヶ岳、怖すぎる…」と思ってしまった方もいるかもしれませんが、安心してください。敵(害虫)の弱点を知り、適切な「武器(虫除けアイテム)」を使えば、リスクは大幅に減らせます。私が八ヶ岳での生活で実際に試して効果を感じた、信頼できるアイテムとその使い分けについて解説します。
成分で選ぶ!「ディート」vs「イカリジン」
虫除けスプレーを選ぶ際、ドラッグストアでなんとなく選んでいませんか?実は、有効成分には主に2つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。これを理解して使い分けるのが上級者のテクニックです。
| 成分 | ディート(DEET) | イカリジン |
|---|---|---|
| 特徴 | 古くからある最強の忌避剤。濃度が高いほど持続時間が長い(30%配合なら5~8時間)。 | 比較的新しい成分。肌に優しく、ニオイも少ない。年齢制限や回数制限がない。 |
| 効果のある虫 | 蚊、ブヨ、アブ、マダニ、ノミ、イエダニ、サシバエ、トコジラミ、ツツガムシ、ヤマビルなど幅広い。 | 蚊、ブヨ、アブ、マダニ(一部の製品ではヤマビルにも効果あり)。 |
| メリット | 忌避効果と対象害虫の広さはNo.1。本気のアウトドアにはこれ一択。 | プラスチックや化学繊維を溶かさない。服の上からでも安心して使える。子供にも安全。 |
| デメリット | プラスチックやゴム、化繊(レインウェア、サングラス、時計のバンドなど)を溶かす性質がある。使用時は装備にかからないよう厳重注意が必要。12歳未満には使用制限がある場合も。 | ディートに比べると、対象害虫が少し限定的。最強レベルの忌避効果を求めるならディートに軍配が上がることも。 |
私のおすすめの使い分けはこうです。
- 高価な登山ウェアやギアを守りたい時: 服を傷めない「イカリジン(15%配合のもの)」をメインに使用。服の上からもたっぷりスプレーします。
- ここぞという露出部を守りたい時: どうしても露出してしまう首筋や手首には、最強の「ディート(30%配合のもの)」をピンポイントで塗布。ただし、時計やサングラスには絶対にかからないように注意します。
最強の結界!「森林香」の威力
キャンプやバーベキューなど、一箇所に留まる場合に絶大な威力を発揮するのが、携帯防虫器で使用する線香です。しかし、スーパーで売っている普通の緑色の蚊取り線香では、野外のブヨやアブには太刀打ちできません。
そこで登場するのが、林業のプロも愛用する赤い線香、通称「パワー森林香」(児玉兄弟商会)や、アース製薬の「モンスーン」です。これらは煙の量が桁違いに多く、有効成分(メトフルトリンなど)も強力です。キャンプサイトの四隅にこれを焚いておけば、まるで結界のように虫の侵入を防いでくれます。
【注意点】
煙の量がものすごいので、テントの中や風下で長時間吸い込まないようにしてください。また、服に燻製のような匂いががっつり付きます(笑)。ですが、ブヨに刺される苦しみに比べれば、多少の匂いは勲章みたいなものです!
ハッカ油スプレーの自作もおすすめ
市販の虫除け剤の匂いが苦手な方や、もっと手軽に対策したい方には「ハッカ油」がおすすめです。ドラッグストアで売っているハッカ油を、無水エタノールと精製水で希釈してスプレーボトルに入れるだけで、天然の虫除けスプレーが完成します。
清涼感のある香りは人間には心地よいですが、ブヨやアブはこの香りを嫌います。ただし、持続時間は短いので、汗をかいたらすぐにスプレーし直すのがコツです。暑い日の登山では、涼しさも得られて一石二鳥ですよ。
八ヶ岳の虫を知り安全な旅を楽しむ
長くなりましたが、八ヶ岳の虫について、楽しい側面(観察・採集)と怖い側面(危険生物対策)の両方を詳しくお話ししてきました。
「八ヶ岳 虫」と検索してこの記事にたどり着いた皆さんは、きっと現地での不快な思いや危険を避けたい、あるいは子供たちに安全に自然体験をさせたいと願っているはずです。確かにブヨの痒みやスズメバチの恐怖は避けたいものですが、彼らもまた、八ヶ岳の清らかな水や豊かな森が育んだ生態系の一部なんですよね。
重要なのは「むやみに恐れて自然を遠ざけること」ではなく、「相手(虫)の習性を正しく知って、適切な準備をすること」です。
- 長袖長ズボンで肌を守る。
- 場所や目的に合った虫除け(イカリジンやディート)を選ぶ。
- 危険な時期(スズメバチの秋など)や時間帯(ブヨの夕方)を知って行動する。
これだけの準備をしておけば、トラブルに遭う確率はぐっと下がりますし、万が一遭遇しても落ち着いて対処できるはずです。
不安を取り除いて準備さえ整えれば、オオムラサキの優雅な舞や、朝霧の中で見つけるミヤマクワガタの輝き、そして入笠山を彩るアサギマダラの乱舞は、きっとあなたやご家族にとって一生忘れられない素晴らしい思い出になるはずです。ぜひ、安全第一で、八ヶ岳の素晴らしい自然を心ゆくまで楽しんでくださいね!

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